florineのブログ

読んだり観たり遊んだりした感想

2014年の読書メーター

2014年の読書メーター
読んだ本の数:85冊
読んだページ数:24529ページ
ナイス数:913ナイス

プラチナデータ (幻冬舎文庫)プラチナデータ (幻冬舎文庫)感想
500ページ近かったがさらっと一気読み。DNA捜査システムと神楽の病気や生い立ちが興味深くて先が楽しみだった。DNAレベルで人を管理しても、それを回避するシステムが必ず作られ、階級制度を強化するだけだという警告の話だと思う。神楽が父親の作品ではなくその手を見ていれば救えた筈だと悔恨する姿が痛々しい。今回犯人も白い服の少女の正体も早いうちから気付けたので嬉しかった。リュウは自分で見たものしか描かないという言葉が大変重かった。犯人の動機についてはただの助平オヤジかと思っていた。
読了日:1月3日 著者:東野圭吾


新・同棲時代―Peter Pans & Wendies’ short stories (ビッグコミックススペシャル)新・同棲時代―Peter Pans & Wendies’ short stories (ビッグコミックススペシャル)感想
会社にあったので読んでみた。当時は恋愛の神様と言われていたらしいが、今読むとピンとこない。30前後の男性が皆きちんと定職に就き普通に結婚して地道な生活を送っている事自体周りでは珍しい。男性が30歳で結婚6年目とか、女性も20代で専業主婦とか。ほんの24年前の話なのに皆そうだったのかと驚いた。その上での男女の機微が描かれているが、どうもヤラセっぽいというかわざとらしいというか。絵も雑っぽいし、感動には至りませんでした。すみません。
読了日:1月4日 著者:柴門ふみ


祈りの幕が下りる時祈りの幕が下りる時感想
加賀恭一郎シリーズ最新作。夜逃げをしなければならなかった父と娘の哀しい物語。娘のために自らの人生を犠牲にする父親には感動したが、母親が作った借金のために何故残された父娘がこれほどまで酷い目に遭わなければならないのかという理不尽さの方が印象に残った。今回の事件で加賀の母親が家を出た理由が判明する。残してきた息子を思う母親の祈りが救いだった。また原発作業員の話も作者が訴えたかった内容だと思う。
読了日:1月16日 著者:東野圭吾


致死量未満の殺人致死量未満の殺人感想
アガサ・クリスティー賞受賞作ということで期待して読んだが、持って回った大袈裟な表現の割にはタイトル通りのトリックで肩すかし。応募時は『コンダクターを撃て』だったらしいが。内容も不自然さを感じるところが多かった。シェフ付の別荘でミルクティーを飲むのにクリープはないだろう。動機も殺人に至るほどのものか疑問。警察はそんなに間抜けではない。告白を終えた龍太を何故あっさり行かせた?等々。個人的な好みで申し訳ないが、こういう大仰な文章はあまり好きではない。
読了日:1月22日 著者:三沢陽一


アリス殺し (創元クライム・クラブ)アリス殺し (創元クライム・クラブ)感想
夢の中の「不思議の国のアリス」の住人と、現実世界の住人とがリンクするという設定が面白くて引き込まれた。不思議の国の人物(動物?)が死ぬと、リンクしている地球のアーヴァタールも死ぬ。今までありそうで無かった発想が素晴らしい。住人達が繰り広げるナンセンスな会話もそれらしくて良かった。アリス好きにはたまらないミステリーだが、後半の謎解きになると殺害シーンの描写が結構グロいので要注意。
読了日:1月28日 著者:小林泰三


レベッカ〈上〉 (新潮文庫)レベッカ〈上〉 (新潮文庫)感想
本の内容紹介文から昔見た映画の原作ではないかと思い、確かめたくなり読んでみた。やはりそうだった。映画ももう一度見たくなって再度鑑賞し、緻密な原作を読むことにより一層興味が深まった。突然貴族社会に飛び込んでしまった若きヒロインが、前妻レベッカの影に怯える様子が細やかに描かれている。上巻では仮装パーティの衣装について、レベッカの崇拝者ダンヴァーズ夫人にしてやられるところまで。下巻は一転してミステリー仕立になるはずなので一層楽しみだ。
読了日:1月30日 著者:ダフネ・デュ・モーリア


レベッカ〈下〉 (新潮文庫)レベッカ〈下〉 (新潮文庫)感想
予想通り手に汗握るサスペンスに展開し面白さが加速。映画と全く違う内容に唖然とした。ハリウッド映画のヒーローが殺人犯では許されなかったためレベッカの死因をやむなく変更したらしい。原作は更に深かった。「わたし」がマンダレーの女主人として自信を取り戻すのも、マキシムがレベッカを愛していなかったと知った、ただその一点から。一夜にして大人の女へと変貌を遂げ、更にマキシムはその新妻の変化を惜しんでいるところが病んでいていい。冒頭の独白の暗さも納得だ。炎上シーンのない唐突なラストもグッとくる。もう一度映画も見直したい。
読了日:2月5日 著者:ダフネ・デュ・モーリア


秘密 上秘密 上感想
前作『忘れられた花園』の紹介文に「かつて『秘密の花園』を読み、『嵐が丘』を読み『レベッカ』を読んで、胸を躍らせたあなたに……。」とあった。『レベッカ』が好きなので興味を持っていたところ、ちょうど新作が出たのでこちらを先に。50年前に母親の凶事を偶然目撃してしまい、以来ずっと口を閉ざしていたローレルが、母親の死期を予感して事件の真相を探っていく物語。上巻ではまだパズルの半分もピースが揃っていない。
読了日:2月14日 著者:ケイト・モートン


秘密 下秘密 下感想
面白かった! 色々あって上巻から時間があいてしまったが、難なく入り込み余韻いまだ冷めやらず。ヘンリー・ジェンキンズが暴力男なのはすぐわかったけど、最後のどんでん返しには空襲に遭うシーンまで気付かなかった。『さよならドビュッシー』読んでたのに(笑)。またしても名探偵になれなかったのは、筆者の語り口が上手すぎるから、と日記には書いておこう。確かにレベッカっぽかったね。
読了日:3月6日 著者:ケイト・モートン


こだわりのブックカバーとしおりの本 (玄光社MOOK)こだわりのブックカバーとしおりの本 (玄光社MOOK)感想
京都大垣書店の期間限定カバー欲しかった!(T_T) 不二屋書店とBOOKSルーエのは購入可なので今度買いに行こう。私は普段革製カバーを使用。二宮五郎商店のロールブックカバーは6年以上愛用している。書店のカバーでは書泉のが色上質紙でデザインも良くお気に入り。くまざわ書店のも好き。三省堂が昔作ったという大学の校章を集めたカバーを見てみたい。
読了日:3月6日 著者:


なぞの転校生なぞの転校生感想
昭和50年4月20日初版発行の角川文庫版。最終戦争で故郷を失った次元ジプシーの山沢典夫たちがこのDー15世界にやってくるという設定は同じだが、ドラマの現代的内容とはかなり違っていた。同時収録の「侵された都市」はタイム・ポケットにより1960年から1999年の未来に飛んでしまう話だが、当時の未来都市像が手塚治虫のマンガのようだった。と思ったら巻末の解説を手塚治虫が書いていてビックリ。眉村卓氏はその昔漫画少年に投稿していたとのことでまたビックリ。
読了日:3月10日 著者:眉村卓


ビブリア古書堂の事件手帖 (5) ~栞子さんと繋がりの時~ (メディアワークス文庫)ビブリア古書堂の事件手帖 (5) ~栞子さんと繋がりの時~ (メディアワークス文庫)感想
大輔の告白に栞子さんが答えるまでの物語。母親に会って確かめてからでないと答えられない事って何?と最後まで気になったけど、意外と普通の事だった。昔の昼ドラみたいに実は二人は兄弟だったとか…ないか。ブラックジャックは私も愛蔵版を持っており、内容がどんどん変わっていくのも知っていたので興味深かった。あとがきでこのシリーズも終盤に近付いているとあったが、ますます神格化された母親の智恵子が例の危険を回避させてくれる事を祈る。
読了日:3月12日 著者:三上延


王妃マルゴ volume 1 (愛蔵版コミックス)王妃マルゴ volume 1 (愛蔵版コミックス)感想
16世紀、エリザベス1世の時代におけるフランス王家の物語。相変わらず美しく緻密な絵と濃密な内容に魅せられた。王家の娘の処女は国家財産という侍女の言葉に納得。カトリーヌ母后はなかなかの政治家だったようだ。宮廷一の伊達男アントワーヌに7歳のマルゴが流し目を送るシーンが印象的。それにしてもヴァロア王家の王子達は病弱・シスコン・男色等、おかしな輩ばかりだったようだ。
読了日:3月15日 著者:萩尾望都


王妃マルゴ 2 (愛蔵版コミックス)王妃マルゴ 2 (愛蔵版コミックス)感想
マルゴも年頃になり、ますます面白くなってきた。美しいギーズに夢中のようだが、頭のいい(テクニックも巧みな)ナヴァルの王子についていく方が絶対幸せになれそう。シャルルの血の汗が怖い。
読了日:3月15日 著者:萩尾望都

 


葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫)葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫)感想
やられた!という感想が多かったので心して読んだ。まず「射精したあとは動きたくない」という冒頭文に度胆を抜かれ、セックスに対する若い男性の考えが上手く表現されているなと感じつつ読み進めた。墓を掘り起こす男が誰なのか、麻宮さくらはどういう女なのか、という点ではかなり真実に迫っていたのだが、肝心のカラクリを看破するには詰めが甘かった。つまり、今回もしてやられた。無念。
読了日:3月24日 著者:歌野晶午


ニート (角川文庫)ニート (角川文庫)感想
短編5話。隠しテーマは駄目な男とのこと。「ニート」と「2+1」の読元は労働意欲と生活能力の欠けた典型的なニート。「へたれ」の孝輔は恋人と育ての母の間で揺れる。「愛なんかいらねー」の乾は留学先で女絡みの失敗、帰国後詐欺でムショ帰り。スカトロ愛好家。そういう男達をしょうもなく援助してしまう女達が主役だ。何故こんな男に関わる。何故一人で居られない。そんな生きる寂しさをゆらゆら考えさせられる本。「ベル・エポック」の誠さんだけは心筋梗塞で亡くなっているのだが、婚約者だったみちかの行動が哀しい。
読了日:3月28日 著者:絲山秋子


なぞの転校生 (講談社文庫)なぞの転校生 (講談社文庫)感想
昭和50年発行の角川文庫版も読んだが2013年発行のこちらも。文字が大きくレイアウトもゆったりしていて読みやすかった。角川文庫版では解説が手塚治虫だったので驚いたが、こちらはドラマの企画・脚本の岩井俊二が解説している。中学生の時にNHKの少年ドラマシリーズで「なぞの転校生」を見たそうである。今回のドラマはあまり真剣に見ていなかったが、最終回で今の世界がD-15ではなくD-12で、原作の39年後の話だという事がわかった。そういえば「時をかける少女」のアニメ映画も原作の何十年後かの話だったのを思い出した。
読了日:3月29日 著者:眉村卓


ここではない★どこか 春の小川 (Flowersコミックス)ここではない★どこか 春の小川 (Flowersコミックス)感想
「水玉」「シャンプー」「海と真珠」の夜羽根(ヨハネ)はいいキャラだ。チャラそうに見えてちゃんと舞の事を考えている。「いつもいいにおいしてる」と言われた時の舞に完全シンクロした。ヨハネといえば、大島弓子の「ヨハネがすき」を思い出す。やすみに羽根をあげたヨハネヨハネのもとを離れた妹。あのヨハネも凄く好きだったけど、こういう逞しい夜羽根もいいね。「春の小川」で千田父さんが作った卵色の湯のみが素敵だった。
読了日:3月30日 著者:萩尾望都


純情ロマンチカ 16 プレミアムアニメDVD付き限定版 (あすかコミックスCL-DX)純情ロマンチカ 16 プレミアムアニメDVD付き限定版 (あすかコミックスCL-DX)感想
編集部が舞台の話だという解説から「世界一初恋」のアニメを見てみたらBLでビックリ。でも心情描写が細やかで色々面白かったので、前作「純情ロマンチカ」のアニメも見てみることに。そして宇佐見秋彦にハマった。売れっ子小説家、旧財閥の御曹司、T大法学部現役合格&首席卒業、クマのぬいぐるみを抱いて寝る、俺様、神経質、そして優しい。あの声は反則だ。原作は具体的な行為の描写もあるのでひょえーだったりするけど、純情ぶりは変わらない。そんなこんなで私もBLでびうです。
読了日:3月31日 著者:中村春菊


あぶな坂hotel (クイーンズコミックス)あぶな坂hotel (クイーンズコミックス)感想
この世とあの世のあわいに建つあぶな坂HOTEL。そこにやって来る人々の物語。霧が晴れて戻れば生き返り、美しい中庭を横切った先の門を出ればあの世行き。HOTELのオーナーや従業員にも物語がある。伝説のロックンローラー・スズカプリンスと、メイドのマルちゃんのやりとりが切なかった。
読了日:4月2日 著者:萩尾望都


純情ロマンチカ (あすかコミックスCL-DX)純情ロマンチカ (あすかコミックスCL-DX)感想
アニメから。内容は殆ど同じで、美咲が居候する前にウサギが看病に来るエピソード等、アニメになかった部分を補完出来てよかった。絵柄はちょっと雑っぽく感じる。カバー裏のショート漫画がアニメサントラに収録されているミニドラマ1の元ネタで、ドラマもアレンジされているんだなと一人納得した。
読了日:4月4日 著者:中村春菊


純情ロマンチカ(2) (あすかコミックスCL-DX)純情ロマンチカ(2) (あすかコミックスCL-DX)感想
一日一冊BL。何故男同士でなければならんのかをつらつら考える。アニメでの細やかな心情描写が気に入って読み始めた訳だが、今回は純情エゴイスト主体で尚一層ピュアな真剣勝負の恋物語が展開されている。これを男女がやったらどうよ。多分中学生程度の稚拙なやりとりになるんじゃないか。好きな人の一番になりたいとか他のヤツに触れされたくないとか、そういうのを28の助教授や35の教授にさせるためには、男同士でなきゃアカンのかもしれん。
読了日:4月4日 著者:中村春菊


純情ロマンチカ (3) (あすかコミックスCL-DX)純情ロマンチカ (3) (あすかコミックスCL-DX)感想
美咲のチケットをキャンセルさせてウサギが新幹線で迎えに来る、アニメで一番好きだったシーンが見られてよかった。普通あんな素直に本音は言えなくて、心ならずも離れて暮らすうちに恋心も自然消滅のパターンだろうに、あんな恥ずかしい台詞を臆面もなく言える28歳ありえなさすぎて好きです。でも直森賞作家なんだからラ抜き言葉は使わんで欲しい。純情エゴイストは篠田さん知らなかったので新鮮だった。てか上條私に似ていてツライわ。プライド高くて素直になれず空回りするところがね。
読了日:4月5日 著者:中村春菊


純情ロマンチカ(4) (あすかコミックスCL-DX)純情ロマンチカ(4) (あすかコミックスCL-DX)感想
エゴイスト篠田編は何かよくわからないというかスッキリしなかった。いや上條とウサギのあれこれは凄くいいんだけど、篠田サンは何だったのかと。一緒にいて嬉しい人が見つかってよかったね、でいいのかな? ミニマムはもう可愛いとしか言いようがない。アニメでも可愛かったけど、あの声があの声に声変わりするなんて、男とは不思議な生き物よのう。
読了日:4月5日 著者:中村春菊


純情ロマンチカ (5) (あすかコミックCL-DX)純情ロマンチカ (5) (あすかコミックCL-DX)感想
アニメでは割愛されていた、ウサギが美咲のスーツを選ぶシーンが見られてよかった。プレゼントはその人がどんな気持ちで贈ってくれたかという事で、その人の気持ちにちゃんと気付く事ができるかという事。美咲は気付いただけでなく、それをウサギにきちんと伝えられてエライ。このシリーズを読んでいると、意地やプライドを乗り越えて素直になった人だけが幸せになれるような気がしてくる。さてテロリスト登場だが、忍チンは一体宮城のどこを好きになったのか。あの内面を見抜いているとは到底思えないけど、そうだとしたらとんでもない高校生だ。
読了日:4月6日 著者:中村春菊


純情ロマンチカ (6) (あすかコミックCLDX)純情ロマンチカ (6) (あすかコミックCLDX)感想
菊川賞受賞記念パーティーで、美咲がウサギの迷惑にならないようにしなきゃと思い至るところが切ない。テロリストで上條が宮城に語るシーンも。つき合ってる事をやましいと思っているのではないかと、それはなにより相手に対しての裏切り行為なのでは、と真剣に悩む姿がいじらしい。その辺がまあこの国ではまだ無理があるんだろうなあとしみじみ。こういう本を読んだと登録するだけでも結構勇気要るし。それにしても忍チンの横顔はウサギにそっくりだ。あと宇佐見家のモデルはやっぱり旧岩崎邸だと思った。
読了日:4月6日 著者:中村春菊


純情ロマンチカ (7) (あすかコミックCLーDX)純情ロマンチカ (7) (あすかコミックCLーDX)感想
アニメでも結構衝撃的だった、角先輩が本性を現すの巻。ウサギがあんなに不安になってるのに美咲いい加減ちゃんとしてやれよ、と読んでる方もそろそろ焦れてくる。まあちゃんとしたらそれで話が終わってしまうのかもしれないけど、ここはちょいとウサギの変になり方がおかしいような気がする。とりあえずHになだれ込まず、話し合いで解決して欲しい感が強い。テロリストは降参して完結なのかな? エゴイストは前巻の「息子さんをください」が効いているせいか、二人とも真面目で凄く好感が持てる。
読了日:4月6日 著者:中村春菊


死神の浮力死神の浮力感想
還元キャンペーンの話が出た時点で、延命が適用されるのは本城で山野辺さんは可になるんだろうと予想がついた。伊坂さんの小説は結末が予想しやすいところが特徴的だが、だからと言ってつまらなくなるとかではない。むしろ当たって嬉しく思わせる運び方が凄いと思う。ラストの自転車が痛快。浮力が最後ああいう形で出てくるとは思わなかった。千葉さんには是非またお会いしたい。この話では「その日を摘む」生き方についてしばし考えさせられた。二十五人に一人のサイコパスとの戦いより、むしろこの死との向き合い方がメインだった気がする。
読了日:4月9日 著者:伊坂幸太郎


折れた竜骨 上 (創元推理文庫)折れた竜骨 上 (創元推理文庫)感想
自然の要塞に守られた小ソロン島で領主が暗殺騎士によって殺害された。手先となった走狗は誰か。領主の娘アミーナは、聖アンブロジウス病院兄弟団の騎士ファルク・フィッツジョンとその従士ニコラ・バゴと共に真相を探る。剣と魔術のファンタジー世界におけるミステリー。歳をとらない呪われたデーン人が気になるけど上巻はここまで。下巻を持って来るのを忘れて続きが読めない間抜けな夜。
読了日:4月9日 著者:米澤穂信


純情ミニマム[ドラマCD付き] (あすかコミックCL-DX)純情ミニマム[ドラマCD付き] (あすかコミックCL-DX)感想
思ったより本が薄く、ウサギと弘樹のエピソードは本編のミニマムとほぼダブリだったけど、幼い美咲の切ないエピソードが見られてよかった。CDで美咲の答案を上條先生が採点していたり、ウサギが美咲の幼い頃の失敗を知っていたり、マンガの内容と絶妙に絡むのが楽しい。エゴイストの「息子さんをください」はコレだったのか。この二人は本当に真剣に好き合っているんだなぁとしみじみ。
読了日:4月10日 著者:中村春菊


政と源政と源感想
著者は一体何歳なのか、と思わずプロフィールを確認した。1976年9月23日生。「政と源」の初出が2007年8月号増刊だから、単純に計算して30歳の時に書いた事になる。何故73歳の男達の気持ちがこれほどまでに分かるのか。老人の話だからといって辛気臭くなる事もなく、平成の若者との交流や、家を出て行った妻に一緒に仲人をしてもらうための奮闘努力など、笑いあり涙ありの素敵な人情物語に心が温まった。昨年11月に神田川・隅田川舟めぐりに行った事もあり、水路の町も続いて欲しいと思った。
読了日:4月16日 著者:三浦しをん


折れた竜骨 下 (創元推理文庫)折れた竜骨 下 (創元推理文庫)感想
一同が集まる宴の席で一人ずつ走狗の可能性を潰していく解答編では、なるほどそのための伏線だったかと気付く事も多く面白かった。綿密に書かれているなぁとしみじみ。ファンタジーとミステリーの融合も凄いと思った。結末は概ね予想通りで嬉しい。一番意外だったのはタイトルの意味。そういう事でしたか。ニコラが美丈夫に成長してソロンに戻って来る事を祈りつつ。◆ハチミツ入ワイン試してみました。美味しかったです!
読了日:4月22日 著者:米澤穂信


学園ハンサム (スマッシュ文庫)学園ハンサム (スマッシュ文庫)感想
iPhone版ゲームより。アゴ殺人もシガリータも突き抜けていたけど、西園寺先生のクリスマスイベントが好き過ぎて、シナリオを書いた木足利根曽さんをもっと知りたくなり小説も購入。あとがき、もうちょっと本当の事を書いて欲しかったです… 書籍では流石に◯潤さん出せないからだろうけど、先生の出番が少なくて残念。でもボイスが頭の中で聞こえるようでした。個人情報ファイルがやっと活躍できてよかったです。
読了日:4月23日 著者:木足利根曽


奇想と微笑―太宰治傑作選 (光文社文庫)奇想と微笑―太宰治傑作選 (光文社文庫)感想
森見登美彦氏の『太陽の塔』を読んだ時、これを書いたのは本当に現代人なのかと不思議に思った。まるで太宰治の書いた小説のようだったから。その原点はこれらの小説だったんだなと納得。私は太宰の『斜陽』に心酔し、スウプはひらりと食したいと思っている馬鹿者であるが、こういうヘンテコで愉快な小説も書いていたのかと新鮮だった。「酒の追憶」の途方もない酔いっぷりと、「女の決闘」の創作的解説が印象的だった。最後に「走れメロス」を久しぶりに読めてよかった。
読了日:5月2日 著者:太宰治


放課後はミステリーとともに放課後はミステリーとともに感想
第1話「霧ヶ峰涼の屈辱」から読めとわざわざ注釈が入っている意味がようやくわかった。そこだけは綺麗に騙された。が、高校が舞台なだけに日常生活における些細な謎解きが多く、少々退屈感あり。『謎解きはディナーのあとで』は刑事の話だったし殺人事件が起きたりして緊張感があったのかなと思う。面白く思う要素はそれだけではないと思うが。
読了日:5月9日 著者:東川篤哉


姉の結婚 7 (フラワーコミックスアルファ)姉の結婚 7 (フラワーコミックスアルファ)感想
前巻がグダグダで少々嫌になっていたところ、怒涛の急展開。これだからオトナは侮れない。真木の奥さんの妊娠は不倫相手の子だと思ってはいたけれど、こういう展開になるとはね。ルイの件も青天の霹靂だった。お母さんもいい女だったんだなぁと。私も親に愛されない子供だったけど、「自分の問題の原因をいつまでも過去に求めるのはやめなければと」というヨリの言葉には重みがあった。とっくに分かっていたけどね。
読了日:5月11日 著者:西炯子


探偵部への挑戦状 - 放課後はミステリーとともに2探偵部への挑戦状 - 放課後はミステリーとともに2感想
鯉を凶器にしたり、モミの木を隣の楓の木の上までぶん投げたり、カッターを綿菓子で覆ったり、謎解きがかなり不自然で苦しい。大体カッターで顔に切りつけたら冗談では済まないし、リアリティがない。キャラクターの魅力も今ひとつで、読むのが辛かった。やはりお嬢様と執事、ジャガーで現場に乗りつける刑事くらいのインパクトが欲しい。さもなくばあっと驚く謎解きを期待する。
読了日:5月14日 著者:東川篤哉


ペナンブラ氏の24時間書店ペナンブラ氏の24時間書店感想
活版印刷時代の稀覯本に隠されたカルト的な謎を、最新のIT技術を駆使して解き明かしていく冒険譚。ペナンブラ氏の24時間書店の奥地棚では何が行われているのか。Googleは本当にこういう会社なのか。という興味の二本立で、最後まで飽きさせない。グランブルが考案した紙製の組立式スキャナや、その取引が行われるピザ屋にも魅了される。物を調べたり探したりするにはどうすればよいかという案内書のような物語で、大変興味深かった。一時期フェスティナ・レンテという言葉にハマっていたので少々こそばゆい思いをした。
読了日:5月23日 著者:ロビン・スローン


私が語りはじめた彼は (新潮文庫)私が語りはじめた彼は (新潮文庫)感想
大変面白かった。interestingの意味でもamusingの意味でも。関係者の視点で次々と語られていく連作形式の小説はよくあるが、こういう展開になるとは予想だにしなかった。私のような一読者が言うのもおこがましいが、実に上手い作家さんだと思う。『舟を編む』でもそう感じたけど、これを書いた時点で既にベテランの貫禄だったとは。個人的に『まほろ駅前…』より人間の闇に焦点を当てたこちらが好みなので、この小説で直木賞を取って欲しかった。
読了日:5月28日 著者:三浦しをん


神曲 地獄篇 (河出文庫 タ 2-1)神曲 地獄篇 (河出文庫 タ 2-1)感想
神曲」というタイトルは森鷗外の紹介文からきていて、原題は「喜劇」という意味の「Commedia」だそうだ。当時の人物名をバンバン出し、地獄で大変な目に遭わせ糾弾するというジャーナリズム的な意味もあったらしい。知識があればもっと面白く読めたろうに残念。大食らい、吝嗇、浪費、異教異端、暴君、自殺、男色、女衒、阿諛追従、聖職売買、魔術魔法、汚職収賄、偽善、窃盗、権謀術策、裏切、何でもかんでも地獄行き。心して生きよう。漆黒の六枚羽の意味がやっと分かった。
読了日:6月6日 著者:ダンテ


読書は「アウトプット」が99%: その1冊にもっと「付加価値」をつける読み方 (知的生きかた文庫)読書は「アウトプット」が99%: その1冊にもっと「付加価値」をつける読み方 (知的生きかた文庫)感想
いくら本を読んでも「どんな本だったの?」と聞かれて答えられないようでは時間をムダにしているようなものだ。記憶力とは覚える力ではなく、思い出す力なのです…同感。最近、どんな本だったかどころではなく、読んだ事すら忘れて同じ本を2冊も3冊も買う始末。なのでせっせと感想を書くのであります。でも小説は斜め読みすると肝心要の伏線を見逃す危険があるし、熟読するしかありませんよね。趣味は楽しんでナンボだと思っております。
読了日:6月6日 著者:藤井孝一


母と娘はなぜこじれるのか母と娘はなぜこじれるのか感想
著者が「対談を終えて」のコメントにも書いたように、萩尾望都さんのプライヴェートなお話が聞けてよかった。就活の学生さん、本当の「貴重なお話」っていうのは、こういう話のことなんですよーーだそうですw まあ皆さん酷い母親をお持ちで。私も機能不全家庭で育ちましたが、大して珍しい事ではなかったんだなと。また母親と距離を置きたいと思う事に罪悪感を感じなくてもよかったんだと今更ながら納得しました。母性は存在しない、精神分析的には男性は身体を持っていない、にはビックリ。
読了日:6月10日 著者:田房永子,角田光代,萩尾望都,信田さよ子,水無田気流


愛蔵版 グレート・ギャツビー愛蔵版 グレート・ギャツビー感想
ディカプリオ版に続きロバート・レッドフォード版の映画も見て、もう一度原作を読みたくなりこちらを。ギャツビーのデイジーに対する拘り方はやはり常軌を逸しているが、その一途さ故にギャツビーは読者に愛される。トム・ブキャナンの図々しさはプロレタリアートの私には相変わらず腹立たしかった。この愛蔵版には訳者の村上春樹による「『グレート・ギャツビー』に描かれたニューヨーク」というエッセイが付いている。特別な街マンハッタンに私も行きたくなった。


読了日:6月12日 著者:フランシス・スコットフィッツジェラルド,村上春樹
優しい死神の飼い方優しい死神の飼い方感想
いくらなんでも関係者が都合よく集まり過ぎだろう、と思っていたら、我が主様の計らいだった事にするとか、上手いようなズルイような。あとヒント出し過ぎで序盤で全体像が見えてしまいます。ラストも予想通り。何百年も死神やってて病状まで解析出来るのにびすけえとはないでしょう。微笑ましさもしつこいと興醒め。無理に笑いを取りにいかないでほしい。簡単な謎解きを大仰に説明されると疲れる。地下室での犯人は間抜け過ぎ。とは言うものの最後まで読ませる面白さはあった。色素性乾皮症からは『屍鬼』のヒロイン沙子を思い出す。
読了日:6月18日 著者:知念実希人


新編 銀河鉄道の夜 (新潮文庫)新編 銀河鉄道の夜 (新潮文庫)感想
この話を今まできちんと読んだ事がなかったとは驚きだ。『注文の多い料理店』もなかなか読めなかったし、家庭の事情が原因だろうか。ようやく読めて、幻想的かつ哲学的な内容に感銘を受けた。松本零士銀河鉄道999を書きたくなったのもよくわかる。お気に入りの待受「プリオシン海岸」はこの話の絵だったのかと納得した。今回最終形で読んだのを機に、ブルカニロ博士が出てくる初期形も読んでみた。ストーリーの流れは最終形の方が納まりがいいが、あらゆる人の一番の幸福を探しまっすぐに生きていくという主旨は初期形の方が分かりやすかった。
読了日:6月22日 著者:宮沢賢治


桜の森の満開の下 (講談社文芸文庫)桜の森の満開の下 (講談社文芸文庫)感想
『櫻子さんの足下には死体が埋まっている』という近頃流行りのタイトルを見て、梶井基次郎の『桜の樹の下には』と、この『桜の森の満開の下』がベースになっているのではないかと思い読んでみた。とてもよかった。安吾も『堕落論』だけじゃないんだな。満開の桜の木の下では皆おかしくなってしまう、というか、花も盛りの一瞬には生命を燃やし狂ったようになるというような、生き物のSaGaを感じた。『櫻子さんの…』は多分読まない。このタイトルを書いてみたかっただけだろうから。
読了日:6月23日 著者:坂口安吾


檸檬・桜の樹の下には (お風呂で読む文庫  6)檸檬・桜の樹の下には (お風呂で読む文庫 6)感想
『櫻子さんの足下には死体が埋まっている』のタイトルを見て再読。美しい桜が咲くためには死体の養分が必要だという科学的解説と、薄羽かげろうの死体の集団と合わせて生命の神秘・残酷さを狂気じみた文章で綴っている。日本人にとってやはり桜の花は特別なもので、満開の桜の樹の下では狂ったように自己を曝け出してしまう、その言い訳のように感じた。『櫻子さんの…』は多分読まない。
読了日:6月23日 著者:梶井基次郎


檸檬 (新潮文庫)檸檬 (新潮文庫)感想
得体の知れない鬱屈の中で、一個のレモンと出会った喜び。生活が蝕まれる前に好きだった丸善に入り、ふといたずら心を起こす…レモンを爆弾に見たてて現状打破を夢見たり、鮮やかな色彩が喚起される印象的な短編だ。舞台となった丸善・京都店ではレモンを置き去る人があとを絶たなかったそうである。その丸善が2009年に発売した創業140周年記念限定万年筆「檸檬」を私は所有している。ボディは鮮やかなレモンエロー。新潮文庫版『檸檬』がセットになっていた。我が家には一体何冊『檸檬』があることやら。
読了日:6月24日 著者:梶井基次郎


ペテロの葬列ペテロの葬列感想
坂本君はいつかやらかすと思っていたが、ラストの菜穂子にはおったまげ。正直どうもスッキリしない。タイトルのように一度嘘をつきその後罪を負うという事がテーマなら、菜穂子の裏切りは不要だったのではないか。資産家の娘にしては出来た女性だと思っていたのに、所詮姫君は世間知らずだと言いたいのか。詰め込み過ぎで主旨がボケているように感じる。随所に『指輪物語』を引いて「悪は伝染する」と言っているが、杉村が滅びの山に捨てに行く負の力は閉塞感か。個人的には「人生はやり直せる」でスッキリ終わらせて欲しかった。
読了日:7月2日 著者:宮部みゆき


幸福な生活 (祥伝社文庫)幸福な生活 (祥伝社文庫)感想
日常生活における様々な罠をシニカルに描いたショートショート。ラストの一行がオチになっており、内容から結末を予測出来る話も多いが、どういう台詞で落とすか想像するのも楽しかった。全編最後のページをめくった後がオチの一行になっているのも凄い。字詰行数を合わせながら書いたのか、単行本ではどうなっていたのか、編集的な事も気になる。しかし本当に出す本全て別ジャンルの作家さんなんだなぁと改めて感服した。
読了日:7月14日 著者:百田尚樹


煙の殺意 (創元推理文庫)煙の殺意 (創元推理文庫)感想
冒頭の「赤の追想」を読んですぐ、米澤穂信の『氷菓』を思い出した。淡々とした語り口、理路整然とした謎解きの明かし方が似ているように感じられたからだ。果たして、直木賞候補の『満願』を書く際に米澤氏がこの『煙の殺意』参考にしたという記事を読み、やはりと思ったのであった。こういう逸品に出会えた事を幸運に思う。「椛山訪雪図」はさながら芸術作品のようだ。『11枚のとらんぷ』も是非読んでみたい。
読了日:7月24日 著者:泡坂妻夫


新編 風の又三郎 (新潮文庫)新編 風の又三郎 (新潮文庫)感想
又三郎も読んでいなかったので。昔のドラマで先生役の水谷豊がオルガンを弾き、「どっどど どどうど どどうど どどう」と児童達に歌わせるシーンを何処かで見たような気がする。クラムボン好き。かぷかぷ。
読了日:7月30日 著者:宮沢賢治


未来のイヴ (創元ライブラリ)未来のイヴ (創元ライブラリ)感想
正漢字・歴史的仮名遣い。「」を使わず余白も殆どなし。読むのにかなり時間を要した。まずイギリスの青年貴族エワルドの恋人ミス・アリシヤの外見が如何に完璧で、内面が如何に低俗であるかが100頁以上語られる。その後は人造人間ハダリーが如何にして人間と同じように動くかの説明が約300頁。平衡を保つのに水銀を使ったり、運動圓管のざらざらした表面に刻みつけたり、流石19世紀と思わせる古めかしさがあった。理想の女性像にも異議のあるところだが、ブルジョワに対する風刺だったのかもしれない。「私は人間を辞職する」がよかった。
読了日:8月5日 著者:ヴィリエ・ド・リラダン


ボックス!(上) (講談社文庫)ボックス!(上) (講談社文庫)感想
鏑矢の登場シーンがとてつもなく格好良い。電車内で迷惑行為を繰り広げる中学生6人。注意した24歳の女性をオバハン呼ばわりし乱暴しようとしたところに、風のように現れ次々と倒していく。仕返しを恐れて見て見ぬ振りをするのが常識となりつつある今、パンチという飛び道具を持つことの意味を心に訴えかける冒頭だ。努力しない天才・鏑矢と、非力な努力家・木樽。アマチュアボクシングの知識は全くなかったが、飽きさせない展開にグイグイ引き込まれた。男性の闘争心には共感するが、作者が復讐を是とするか非とするか、今後が興味深い。
読了日:8月8日 著者:百田尚樹


AWAY-アウェイ- 1 (フラワーコミックス)AWAY-アウェイ- 1 (フラワーコミックス)感想
小松左京著『お召し』を原案に描いたというSF。原案では突然大人が消えて12歳以下の子供だけの世界になってしまうらしいが、AWAYでは年齢の設定が変わり18歳未満の世界となる。赤ん坊の世話や食料や電気やゴミや病気や犯罪や火事や、問題は山積み。18歳になって戻っていく大人の世界でも、何故ウチの子は戻らないのかと帰還した人を攻撃する親達や、ただの誘拐や洗脳だと言い張る政治家なんかがいてこれまた大変。人間の弱さ、恐ろしさがリアルに伝わってくるなか、大介と一紀のロマンスもあり、今後の展開が楽しみだ。
読了日:8月9日 著者:萩尾望都


グーグーだって猫である (6) (角川文庫)グーグーだって猫である (6) (角川文庫)感想
ついに完結。私も子供の頃に飼っていた猫との別れを思い出した。グーグーが最後に肉球で握り返してくるシーンに涙。映画は見ていないけれど、今秋WOWOWでドラマ化されるそうなので、こちらは見ようと思う。
読了日:8月9日 著者:大島弓子


ボックス!(下) (講談社文庫)ボックス!(下) (講談社文庫)感想
電車内で喫煙していた奴らを木樽がたしなめるシーンにグッときた。強くなったね。努力出来る人が天才なのだというくだりで、「また選手がよくついていきますよ。その素直さも才能でしょうな」という『エースをねらえ!』の台詞を思い出した。鏑矢は本当に風のように通り過ぎて行ったんですね。10年後に高津先生が三島先生になっていたけど、三島って上巻にいたっけ? ボックスとサイエンスの意味は勉強になった。鏑矢が「探偵!ナイトスクープ」の主題歌を口ずさんでいたシーンには爆笑しました。百田先生やるなぁ。
読了日:8月15日 著者:百田尚樹


非正規レジスタンス―池袋ウエストゲートパーク〈8〉 (文春文庫)非正規レジスタンス―池袋ウエストゲートパーク〈8〉 (文春文庫)感想
このシリーズも久しぶり。脱法ドラッグを扱ったタイムリーな最新作を読みたかったが、やはりマコトの過去をきちんと知らなければ理解出来ない部分もあるかと思い、順番に読むことにした。この巻は単行本の発行が2008年7月、マコトはガラケーを使い、写メという単語が頻出。懐かしい。マコトが赤ん坊の頃施設に預けられた事実も明かされる。表題の派遣業者の話は今なお続く社会問題だ。4話とも嘘のようにすんなり解決するが、マコトのカッコつけた一人語りがお伽話を信じさせてくれる。いつにも増して知っている地名が沢山出てきて嬉しかった。
読了日:8月21日 著者:石田衣良


ドラゴン・ティアーズ 龍涙―池袋ウエストゲートパーク〈9〉 (文春文庫)ドラゴン・ティアーズ 龍涙―池袋ウエストゲートパーク〈9〉 (文春文庫)感想
2009年12月1日に単行本で読んでいたが、文庫版も結局最後まで読んでしまった。単行本は2009年8月に発行されている。「キャッチャー・オン・ザ・目白通り」でタカシが抜いた携帯がプラダの高級品。そういえばPRADA phoneなんてあったっけ。さて今回は、前巻の非正規労働者の更に下の集団、外国人労働者について。時給270円で3K仕事を1日12時間は流石に想像出来ない。相変わらずマコトのお母さんが太っ腹だったけど、ちょっと神格化されすぎな気がしてきた。
読了日:8月22日 著者:石田衣良


我が家の問題我が家の問題感想
どんな家にも何かしらあるような問題を鮮やかに綴った小品6編。百田尚樹の『幸福な生活』と決定的に違うのは、6編とも概ねいい話だという事だ。「夫とUFO」の奥さんはちと出来すぎ君ではないかね?「里帰り」だって、世の中いい親戚ばかりとは限らないでしょう。日々の生活の中に小さな幸せを見出せる人は確かに尊いのかもしれないけど、天邪鬼の私はどうにもスッキリしない。が、ラストの「妻とマラソン」にはホロリとしてしまった。著者の経験談ではないのかと訝りつつ。
読了日:8月29日 著者:奥田英朗


破門 (単行本)破門 (単行本)感想
第151回直木賞受賞作。映画製作の出資金を持ち逃げされた極道が回収に奔走する物語。桑原と二宮のやりとりや、ヤクザ同士の喧嘩、医者へのかかり方、詐欺の方法と金の隠し方、ギャンブルの薀蓄等、そこそこ面白かったが夢中になって読み耽る程ではなかった。シリーズものらしいので最初から読んでいれば感動するところもあったのかもしれないが、遡って読む気にはならない。オカメインコのマキは可愛かった。
読了日:9月9日 著者:黒川博行


PRIDE プライド―池袋ウエストゲートパーク〈10〉 (文春文庫)PRIDE プライド―池袋ウエストゲートパーク〈10〉 (文春文庫)感想
IWGPシリーズ第1期完結10巻目。つぎのステージで、また会おう。と言うからには第2期があるらしい。実は次の巻が既に出ているのだが、設定がどう変わっているのか心配だ。今回、氷の王様と言われてきたあの安藤崇が4話中2度も恋愛絡み!マコトにも本気で付き合う相手が出来たようだし先が楽しみだ。年収二百万円でも幸せだと思わせてくれるお伽話のような一人語り、次回もまたいい夢を見せて欲しい。
読了日:9月11日 著者:石田衣良


パラドックス13 (講談社文庫)パラドックス13 (講談社文庫)感想
ミステリーではなくSFだった。思えば東野作品には『パラレルワールド・ラブストーリー』からハマったのだった。P-13世界に飛ばされた13人の個性が凄い。大食いの太一、上司風を吹かす専務、諦めない女子高生、SF好きのヤクザ、夜這いの小峰。皆を牽引するサバイバル知識に長けた誠哉は凄いと思うが好きにはなれない。新世界のイブ提案には唖然。東京の荒廃ぶりがリアルで大雨と地震が続けば近い未来こうなるのではと本気で心配になる。1ヶ月後の揺り戻しまで生き延びたメンバーが戻れたようだが、河瀬のラストが皮肉で大変印象深かった。
読了日:9月17日 著者:東野圭吾


ワン・モアワン・モア感想
ホテルローヤル』から3冊目。人間関係の面倒臭さ、心の機微が丁寧に描かれていてのめり込んだ。大人の男女・友人・親子関係のドロドロが読みたいお年頃の私にはたまらない1冊でありました。短編集の体裁を取りながら登場人物は繋がっていて、全体で一つの物語になっているのもいい。ラストの「ワン・モア」で判明した「おでん」の結末は予想外。どの話にも感じられるメランコリーは、加良古路島や釧路湿原のような北海道の土地独特の寂寥感からくるものではないかと思った。
読了日:9月24日 著者:桜木紫乃


うどんのうーやんうどんのうーやん感想
噂にたがわぬシュールさ。梅干しはベンチにいないと思う。川を越え山を越え、一体何処まで出前圏内なのか。人手不足で自ら出前に行ったうーやん、ラストでお客さんに食べられた筈なのにまた店に居るのは何故。
読了日:9月27日 著者:岡田よしたか


キング誕生 池袋ウエストゲートパーク青春篇 (文春文庫)キング誕生 池袋ウエストゲートパーク青春篇 (文春文庫)感想
いつもブランド物を着こなしベンツで送迎されているキングが、高校時代は2DKの団地住まいで自らシャツにアイロンをかけていたとは知らなんだ。ボクシングの難しいコンビネーション技を一度見ただけで再現出来たりは少々リアリティに欠けるが、そこはマコトの語り口でカバー。マコト、国語は得意だったのね。二人の青春編、こそばゆく感じながらも楽しませていただきました。大人編にも期待。
読了日:9月29日 著者:石田衣良


恋歌恋歌感想
第150回直木賞受賞作。樋口一葉の師匠、中島歌子の半生。瀬をはやみ岩にせかるる滝川のわれても末に逢はむとぞ思ふ…甘ったるい恋愛小説かと思いきや、天狗党の乱で赤沼に投獄されてからの凄惨な日々は、さながら生き地獄で手に汗握りながら読んだ。君にこそ恋しきふしは習ひつれさらば忘るることもをしへよ…一人の男性を想い通した天晴れな女性に感じ入りました。冒頭の花圃の優雅な生活も印象的だった。
読了日:10月3日 著者:朝井まかて


Gift (講談社文庫)Gift (講談社文庫)感想
調べてみたら中一の時だった。所謂バタフライナイフ事件が発生したため、木村拓哉主演のドラマ「ギフト」の再放送が打ち切られ、世間から一切封印された。記憶を失った主人公が「届ける」事に拘る原因となった出来事とは何か、由紀夫の正体は何者なのか、ついぞ分からずじまい。あれから17年。心の底に引っかかっていた疑問がふとしたきっかけで再浮上。ドラマは相変わらず封印されていたが、ノベライズの存在を知り読んでみた。17年来の謎が解けた。いい話だった。
読了日:10月11日 著者:飯田譲治,梓河人


ギフト (角川ホラー文庫)ギフト (角川ホラー文庫)感想
小説の内容は無論講談社文庫版と同じだが、梓河人の文庫版あとがきと、カトリーヌあやこの解説(漫画)がある。この漫画で解説は必見。
読了日:10月11日 著者:飯田譲治,梓河人


フォルトゥナの瞳フォルトゥナの瞳感想
能力のせいで木山がどんな酷い目に遭ってしまうのか、工場や車に被害が及ばないかハラハラしながら一気読み。葵の言動は伏線てんこ盛りだったのでエピローグは予想通りだった。誰にも認められずに自分の命を投げ出して大勢の他人を救う事が出来るか。私には出来ない。が、小心者なので知らん顔で生きようとしてもストレスで癌になりそう。まっこと困った能力なり。バグダッドの死神の話と、人間は朝起きてから寝るまでの間に九千回も選択をしているという話が印象的だった。
読了日:10月15日 著者:百田尚樹


ボクを包む月の光 -ぼく地球(タマ)次世代編- 14 (花とゆめCOMICS)ボクを包む月の光 -ぼく地球(タマ)次世代編- 14 (花とゆめCOMICS)感想
木蓮が亜梨子に、紫苑が輪に同化する事を認め合う感動の章。の筈だが、いささか引っ張り過ぎの感あり。前作のぼくタマは事実が淡々と積み重なっていく中でラズロやキャーとの出会いがあり、感動させようという思惑が鼻につく事はなかった。作風が変わったのか自分の感性が変わったのか。好きな作品の続編を読むという行為は微妙だなと感じた一冊。
読了日:10月20日 著者:日渡早紀


Helck 1 (裏少年サンデーコミックス)Helck 1 (裏少年サンデーコミックス)感想
家族の推薦で購入したが、緻密なストーリー漫画を好む私にとっては最後まで読むのがツライ代物だった。

読了日:10月21日 著者:七尾ナナキ

 

 

同細胞生物。 (Craft comics (015))同細胞生物。 (Craft comics (015))感想

BL三作目。最初の二作は同じ著者だから実質二作目。どんなジャンルにも名作はあるんだなと感じさせてくれる作品だった。百田尚樹さんも言っていたけど、死ぬまでにあと何冊読めるかわからないので、この先面白い本しか読みたくない。この作品はCD化されており、声優さん達のフリートークで殆ど全員が「難しい作品だ」とコメントしていたので読んでみようと思った。当たりでした。緻密な心情描写が好き。「屋根裏郵便物語」が切ない。
読了日:10月23日 著者:夢花李


チョウになる日 (ミリオンコミックス)チョウになる日 (ミリオンコミックス)感想
「同細胞生物。」と「チョウになる日」がよかったというレビューを見てこちらも読んでみた。白黒でもパステル調の色が感じられるような柔らかな雰囲気と、儚い世界観がとてもよかった。うかの長い髪と服装・顔立ちは正直男性には見えないし、如何に病弱であろうとも息子にこういう生き方を許す親は稀有だと思う。故にマーガレット男子みたいな実在しない御伽噺として堪能した。実際のBLはもっと生々しいような気がする。知らないし理解も出来なさそうなので、夢見る少女漫画の延長としてここまでにしておきたい。
読了日:10月24日 著者:夢花李


できる大人のモノの言い方大全できる大人のモノの言い方大全感想
こんな当たり前の言い方が出来ない奴がいるのか、と呆れるほど基礎的な内容だったが、身に付ける環境に恵まれない若者にとっては必要な書なのかもしれない。著者は「なるほど」を推奨していたが、目上の人には失礼な相槌だと思う。等々、見解の相違も少々あり。業界や職種で微妙に違うしね。
読了日:10月30日 著者:


名探偵マーニー 5 (少年チャンピオン・コミックス)名探偵マーニー 5 (少年チャンピオン・コミックス)感想
積読本消化。一応学園モノでギャグも入るが相変わらず暗い独特な雰囲気。探偵にかこつけて人生の機微を表現したいのか、狙いが全くわからん。とはいえ意外性はそこそこあるし「うそつき」は切なくてよかった。
読了日:11月3日 著者:木々津克久

 


平凡平凡感想
窓を開けたり、おにぎりを作ったり、なんでもないことが人生を全く違うものにしてしまう。あの時ああしなかった自分、別の人生を送っている自分に人は皆思いを馳せる。自分に選ばれなかった自分より、今の自分は幸せでなければならないと思いつめる。しかし、他者の思惑など届かないほど頑強なそれぞれの道を、私たちはいつの間にか歩いているのだ。ということかな。
読了日:11月6日 著者:角田光代


虚ろな十字架虚ろな十字架感想
さまよう刃』で少年法に一石を投じた著者が、今度は死刑制度について問いかける。身内を殺された被害者側・殺してしまった加害者側の心情が細やかに描かれ、単純には裁けない実情について深く考えさせられた。相変わらずプロットが見事。プロローグの若い二人が本編に登場した時には感嘆の声をあげた。死刑は無力かという問いに著者は答えを示していない。が、『人を殺せば死刑ーーそのようにさだめる最大のメリットは、その犯人にはもう誰も殺されないということだ。』の一文が重い。被害者参加制度については知らなかった。
読了日:11月8日 著者:東野圭吾


スタープレイヤー (単行本)スタープレイヤー (単行本)感想
恒川さんは日本の民話風不思議物語専門かと思いきや、一気にRPGのようなファンタジーワールドへ。私がスタープレイヤーになったとしても、やはり夕月のように住まい・物資、容姿・能力、知識・娯楽、そして他者との交流へと平凡に星を使っていくだろう。国造りの話になってきてからは面白さが失速してしまった。ラナログか経験したフーリッシュサークルや、幽のような使い方は興味深かった。
読了日:11月20日 著者:恒川光太郎


天久鷹央の推理カルテ (新潮文庫)天久鷹央の推理カルテ (新潮文庫)感想
鷹央が次々と診断をつけていく様は面白かったが、世の医者が皆これほど診断出来ないとしたら問題だ。河童の正体がダイバーでは当り前すぎる。不可視の胎児は私ですら真っ先に子宮外妊娠を疑った。人魂の原料はガリレオの二番煎じっぽい。主要人物が皆キラキラネームなんてあり得ないし安っぽく感じる。特に大鷲にはビックリ。
読了日:11月26日 著者:知念実希人


女のいない男たち女のいない男たち感想
「まるで〜のように」という比喩がいちいち意外で的確で、やはり上手な作家さんなんだなとしみじみ。アイディアは良くても文章が杜撰で台無しな小説は耐え難い。なんて、偉そうにすんません。これはリアルな短編集、と思いつつ読み進んでいったら「木野」でガツンとやられた。まあ不思議要素も魅力的ですが、凡人にもついて行ける程度にお願いします。
読了日:12月3日 著者:村上春樹


姉の結婚 8 (フラワーコミックスアルファ)姉の結婚 8 (フラワーコミックスアルファ)感想
ようやく完結。花井先生あっぱれでしたが、真木君の変態ぶりには敵いませんでしたね。一人の女性にあそこまで執着できるエネルギーはどこから来るのか。にしてもヨリさんは最後まで情けなかった。あれだけ頭のいい人が信じて裏切られるを繰り返す事自体ありえんし、諦めるにしても本人に確認しないとかヘタレ過ぎる。とは言うもののハッピーエンドで良かった良かった。この作品を通して一番びっくりしたのは母親とルイの秘密かも。
読了日:12月13日 著者:西炯子


ベルサイユのばら 11 (マーガレットコミックス)ベルサイユのばら 11 (マーガレットコミックス)感想
やっと入手できました。マーガレット50周年のコメントを求められ、コメントではなく漫画を描きたいとお願いした池田理代子先生、流石です!そして40年ぶりに描いても絵が全く変わっていない事に感動しました。まだまだ描きたいエピソードが沢山あるとの事。楽しみにお待ちしております。
読了日:12月13日 著者:池田理代子


男ともだち男ともだち感想
比較的誰とでも寝てしまう神名、沢山の愛人がいるハセオ。そんな二人が体の関係を持たずに友達関係を続けていく様子が、周囲の人々との出来事から綴られる。同棲している恋人に殴られたり、イケメン医者の愛人と別れたり。自分と全く違ったタイプのヒロインにこれだけ感情移入できるのも珍しい。仕事に対する考え方や、編集の笹野の言葉、露月さんの鋭い指摘、美穂の器用な生き方等、色とりどりの素材で緻密に織り上げられたタペストリーのような小説。神名の成長が熱く心に残った。
読了日:12月15日 著者:千早茜


海賊とよばれた男(上) (講談社文庫)海賊とよばれた男(上) (講談社文庫)感想
どんな苦境に立たされても戦い抜く男、国岡鐵造。その店主を信じて身を粉にして働く店員達。皆輝かしい日本の未来を信じて楽しそうに働いていた。こういう人達に日本の経済は支えられていたのだ。身の引き締まる思いとはこの事。内容はシビアなのに、次々と難問をクリアしていく様子が面白く、あっと言う間に読んでしまった。ラクしたい〜とブーたれている若者達必読の書。上巻ラスト近くに『永遠の0』の宮部が零戦から降りてくるシーンがあってニヤリ。
読了日:12月17日 著者:百田尚樹

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