florineのブログ

読んだり観たり遊んだりした感想

8月の読書メーター

8月の読書メーター
読んだ本の数:8冊
読んだページ数:1886ページ
ナイス数:27ナイス

天才はつくられる (角川文庫 緑 357ー23)天才はつくられる (角川文庫 緑 357ー23)
昭和42年に学研の中一コース・中二コースに連載されたSF小説。角川から昭和55年に文庫化された初版本を古書店でGETした。8ポイントで1頁43字詰17行。字が小さい!てかこれ活版印刷か?それはさておき、超能力を身につけるための教科書、疑っているうちは能力が発動しない、母親の心は読めないようにブレーキがかかる等、大変わかりやすくて好感が持てた。
読了日:08月01日 著者:眉村 卓
COURRiER Japon (クーリエ ジャポン) 2012年 08月号 [雑誌]COURRiER Japon (クーリエ ジャポン) 2012年 08月号 [雑誌]
コピミズム伝道教会というスウェーデンの宗教団体の話が面白かった。インターネットの規制に反対して生まれたもので、最初は冗談のつもりだったらしいが、信者らは「生命そのものが細胞の複製とDNAの終わりなきコピーによって成り立っている」と正統性を主張している。私は神を信じないが神頼みはする。しかし信じない者に御利益が発動しないことも理解している。
読了日:08月03日 著者:
殺人鬼フジコの衝動 限定版 【徳間文庫】殺人鬼フジコの衝動 限定版 【徳間文庫】
1.母親に虐待されて育った娘が自分は母親とは違うと言いながら母親と同じような人生を辿り、結局自分の娘を虐待するようになる。母親の業(カルマ)からは逃れられない。2.見た目が美しくない女は幸せになれない。この二点が強調されている話で、評判通り読後感が悪かった。殺人がこんなにうまくいく筈もなく、死体処理はもっと大変だと思うが、衝動に任せて人生を転落する様子はマンガのようで痛快だった。
読了日:08月08日 著者:真梨幸子
トーマの心臓 Lost heart for Thoma (文庫ダ・ヴィンチ)トーマの心臓 Lost heart for Thoma (文庫ダ・ヴィンチ)
原作の漫画を読んだのが子供の頃だったので印象を比べるには無理があるとわかってはいるが、それでも漫画の方がはるかに文学的だった。萩尾望都の漫画を読んで驚いたのは、台詞に間を感じられたり、表情や情景から時間を感じられることだった。人物の内面や生きてきた環境について、読者が思いを馳せるヒントと余地が散りばめられているのが心地よかった。この小説ではそれがかなり限定されており、解説を読むような窮屈さを感じる。トーマやユーリを外人の教授がつけた渾名ということにしたのも奇異に感じた。日本の話にする必要はなかったのでは。
読了日:08月15日 著者:森 博嗣
COURRiER Japon (クーリエ ジャポン) 2012年 09月号 [雑誌]COURRiER Japon (クーリエ ジャポン) 2012年 09月号 [雑誌]
気に入ったワインを飲んでいるうちに安ワインも楽しめるようになる、クラシックだって何度も聞いているうちにランドマークが出来る…なるほどね。訳もわからず闇雲に漁っているうちは趣味とは言えない。何事も自分の立ち位置が見えてから。お楽しみはこれからだ。
読了日:08月18日 著者:
夜の国のクーパー夜の国のクーパー
うわーそうだったのかうわーうわークーパーってうわー片目の兵長が冠人がうわー私ってそうなのかうわーと怒濤の解決編で驚いているなか、酸人だけは期待を裏切らず最後まで腐った奴だった。お話のカラクリを全く見抜けなかった私は心底凡人だが、その方が小説は楽しめるのさフン。とトムくんのように欠伸をしてみる。
読了日:08月27日 著者:伊坂 幸太郎
大人もぞっとする初版『グリム童話』―ずっと隠されてきた残酷、性愛、狂気、戦慄の世界 (王様文庫)大人もぞっとする初版『グリム童話』―ずっと隠されてきた残酷、性愛、狂気、戦慄の世界 (王様文庫)
元の話は民間伝承なので、子供向けの綺麗な絵本に改編されたお伽話とは違って当然。にしても凄まじかった。キリスト教の厳しい戒律の下、親のいうことをきかない子供は厳罰、それでも逆らえば処刑。飢饉には子供を交換して食べる。近親相姦当たり前。シンデレラは邪眼で姉たちの足を切らせる。おどろおどろしい話のなかで『長靴をはいた猫』だけは何もしないイケメン主人公が飼い猫の働きのみで王様の娘と結婚できて王位を継いだりする。女はとにもかくにも清く正しく美しく従順で忍耐を強いられるなか、美しい男が得をする時代だったようだ。
読了日:08月29日 著者:由良 弥生
傍聞き (双葉文庫)傍聞き (双葉文庫)
「迷走」「傍聞き」「899」「迷い箱」の4話からなる短編集。「迷い箱」以外は最後に種明かしされるまで仕掛けがわからなかった。特に「傍聞き」はタイトルがキーワードになっており、話の冒頭で傍聞きとは何かをきちんと説明されているにもかかわらずである。なんと上手い作家さんであることか。きっと私ばかりでなく読者は皆騙されたに違いない。仕掛けの上手さも凄いが、内容がミステリーでありなおかつヒューマンドラマでもあるところが読後感の良さにつながる。
読了日:08月29日 著者:長岡 弘樹

2012年8月の読書メーターまとめ詳細
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