florineのブログ

読んだり観たり遊んだりした感想

6月の読書メーター

6月の読書メーター
読んだ本の数:9冊
読んだページ数:2827ページ
ナイス数:43ナイス

スナーク狩りスナーク狩り
ルイス・キャロルのノンセンス詩。ナンセンスではない。八つの発作/歌からなり、ベルマン、ブーツ、ボンネット・メーカー、バリスター、ブローカー、ビリヤード・マーカー、バンカー、ビーバー、ベイカー、ブッチャーの10人の乗組員でスナーク狩りに出航する。解説者が「もちろん『スナーク狩り』は解読不能である。」と言っているように、キャロル特有のカバン語はもちろん、なぞなぞあり、押印あり、これ一冊で卒論が書けそうな深さだ。挿絵も凄い。もう一度大学の英文科に入り直し、ゆっくり研究する夢を見ることしよう。
読了日:06月02日 著者:ルイス キャロル
ジェントルマンジェントルマン
冒頭のシーンから結末が想像できるが、後から出てくる花鋏がラストで大変重要な役割を果たす事に感動した。到底理解できないと思っていたゲイの心情が夢生によって切々と語られ、なんとなくわかったような気がしてしまう。そして最後まで夢生に恋心を明かさなかった圭子はとてもいじらしかった。漱太郎のように誰からも愛される優等生の意外な裏の姿はよくある話だが、ここまで酷いとむしろ清々しい。とはいうものの読後感はやはり良くなく、ラストシーンの禍々しい美しさだけが心に残った。
読了日:06月04日 著者:山田 詠美
開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU― (ハヤカワ・ミステリワールド)開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU― (ハヤカワ・ミステリワールド)
面白かった!一気読みしたかったけど時間の都合で二気読みに。18世紀のロンドンを舞台に、外科医ダニエルと五人の弟子による解剖学教室を中心にして、15世紀の古語をあやつる詩人志望の少年ネイサンが巻き起こす事件。話す者の嘘を見抜く盲目の判事による調査。まるで翻訳ものを読んでいるようだった。仮とじの状態で書店に並べられ、購入が決まってから革表紙と箔押しで製本する出版事情も興味深かった。濃密な内容、スピーディな展開、どんでん返し。上流社会の腐敗と底辺の悲劇。読ませていただき光栄でした。解剖ソング最高。特にFが(笑)
読了日:06月06日 著者:皆川 博子
Wの悲劇 新装版 (光文社文庫)Wの悲劇 新装版 (光文社文庫)
あらすじは知っていたが、きちんと読んだのは初めて。巻末の解説がエラリー・クイーン(フレデリック・ダネイ)でぶっ飛んだ。夏樹静子さんがエラリー・クイーン氏にこの小説の骨格を語った時、クイーン氏はいたく気に入りプロットに関するいくつかのアドバイスをしたそうな。なんと羨ましい事よ。それにしても絵になる内容だ。舞台となる雪の山荘、大窓に切り取られた富士山。屋根の真ん中から伸びる避雷針の途中にある星型のライトがとても印象的だった。そしていわゆる倒叙形式なのに、犯人が二転三転する練られた構成が素晴らしい。
読了日:06月12日 著者:夏樹 静子
硝子のハンマー (角川文庫 き 28-2)硝子のハンマー (角川文庫 き 28-2)
ドラマから入って出版順を逆行して読んでいる。やっと榎本と青砥が出会うシーンを読めて感慨深い。メインとなるトリックはネタバレなので書かないが、この内容をよく一つの事件に仕上げたなぁと感心した。巻末の対談で、著者がこのトリックを思いついてから小説の形に出来るまで20年くらい温存していたとあった。さもありなん。様々な別解も豊富で、ドラマでは「ありえませんね」とあっさり否定されてしまう内容も楽しい。実験に失敗した青砥純子が落ち込み、ラケットボール・エステ・チョコレート三昧でストレス解消するシーンが印象的だった。
読了日:06月19日 著者:貴志 祐介
青の炎 (角川文庫)青の炎 (角川文庫)
ドラマから入り防犯探偵シリーズを出版順の逆に読み、更に遡り本書に至る。緻密な計画を立てて迷惑な人を強制終了させる、ジャパニーズ『罪と罰』。中島敦の『山月記』や漱石の『こころ』を取り入れてあったのが新鮮だった。いわゆる倒叙形式で犯人の心情や計画が細かく綴られており、実際に完全犯罪が出来るのではないかと思ったほど。読み進むうちに主人公を応援したくなり、ついに実行する瞬間は自分が手を下すかのように動悸がおさまらなかった。曾根のように、本当に迷惑な人間は確かにいる。けれど、人を殺すということはこういうことなんだ。
読了日:06月20日 著者:貴志 祐介
幸せな哀しみの話―心に残る物語 日本文学秀作選 (文春文庫)幸せな哀しみの話―心に残る物語 日本文学秀作選 (文春文庫)
どの話も編者の作品かと錯覚するような、日常の闇や人間の性、業、人生の澱みたいなやりきれない何かを甘く切なくブラックユーモアの如く描いた、うまく言えないけど芥川賞っぽい短編ばかりだった。遠藤周作の『霧の中の声』が好き。最後にアパートに来た女は誰だったのか今ひとつ分からない。
読了日:06月27日 著者:
COURRiER Japon (クーリエ ジャポン) 2012年 06月号 [雑誌]COURRiER Japon (クーリエ ジャポン) 2012年 06月号 [雑誌]
サムスンは7時出社、16時退社ですと。帰宅後はスキルアップのための勉強。面接にはサムスンカラーのブルーを着用し、時間に正確である事をアピールするため腕時計をしていく。日本の企業もダラダラ残業させないで早朝出社の方がいいんじゃないか。
読了日:06月28日 著者:
共喰い共喰い
「もらっといてやる」だっけ? よく言うよ。芥川賞だけのために書かれた小説という印象しか受けなかった。暗い内容も、文体も。私が読みたい死に物狂いの人生はそこにはなかった。すみません今酔ってます。
読了日:06月29日 著者:田中 慎弥

2012年6月の読書メーターまとめ詳細
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